2000km慣らしの旅 後編
2007/12/27
カテゴリ: テスト&レポート
ライター: 井上晋
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新型GT-R2000km慣らしの旅 ~編集部インプレッション紀行~ 後編
横浜から広島まで到達した2000kmナラシの旅も後半。ハイパフォーマンスセンターでの1000km点検ができなかったというハプニングはあったものの、新型GT-Rは走り込むほどにエンジンが軽くなり、サスペンションの硬さが取れて乗り心地もよくなってきた。残り1000km、ガンさんの待つ箱根を目指して、各地に立ち寄りながら快調な旅は続く。
12月9日 第三日 走行1000km~1950km
8時にホテルを出発。まずは原爆ドーム付近で撮影。原爆ドームそばの橋から撮影していたら、ブラジルからの観光客が6人くらい集まってきた。写真をバシャバシャとられたりして。男女ともに関心が高いようで、中を覗き込んだり、エンジンを見せてくれとせがまれたり・・・。
この日は移動距離が多く、早々に広島を後に。しかし、街並みの美しい倉敷での撮影の魅力にだけは勝てず、大原美術館ちかくに寄り、運河脇などで軽く撮影。「これ、新しいGT-Rですよね!?」と何人かに声をかけられた。物珍しそうに見入っている人の中には「スカG」と呼ぶ人も。
往路は東名高速を使ったので、帰りは名神小牧JCTからから中央道に入るルートを選択。中央道のほうがワインディング区間が多いのと、笹子トンネルの路面を試すというのが目的。
1000km~1500kmまではレブリミットは6000rpm。もう、日常域では全開といってもいい回転数だ。3200rpmで最大トルクを発生するクルマなので、レブリミットの6000rpmまではよどみなくトルクが発生し続ける感覚。トルクの盛り上がりを感じながら加速していく今までのターボカーと全く異なり、未体験の加速感。「どこまで加速し続けるのか?」という不思議な感覚に陥る。同時に、トルクがフラットなせいかスピード感もなく、気付くとすぐに法定速度を超えてしまいそうになっている。1500kmを超えるとレブリミットを7000rpmに。つまりほんとに全開。
中央道のワインディングも驚くほど快適。あまりにイージーに速く走れるので、これはある意味とても危険なクルマだ、と思い始める。高速道路上のほとんどすべてのコーナーを全開で駆け抜ける能力を持っている。それも全く危険を感じずに。
いよいよ、サスペンションの動きと乗り心地をテストしたかった笹子トンネル。加速していくと、チューンドGT-Rのサスペンションではピッチングが増幅されてそのままのスピードを維持することができない。それが、R35GT-Rはきちんと減衰してくれるようで、道路の凹凸以外の不快感はまったくない。100km/h巡航でサスペンションをRモード、ノーマルモード、コンフォートモードと試す。意外なことに、Rモードが一番快適だった。コンフォートモードでは減衰が収束する前に次のバンプがきてしまい、ブワンブワンし続けてしまう。ノーマルモードでもそれに近い感じだ。これがRモードにすると、しっかり路面をとらえてくれる感覚で、そのまま走り抜けられる。
笹子トンネル手前で背後に迫ってくるクルマがいた。最新のポルシェ997GT3RSだ! しばらくランデブー走行。GT-RのコクピットまでGT3RSのエキゾーストノートは聞こえてくる。それもとても官能的で、エキゾーストノートは断然GT3RSに軍配が上がる。中間加速はGT-Rが速いかな、という感じ。コーナリングもGT-Rの安定感はGT3RSにはないような感じで、GT3RSはコーナリングで全開は根性がいりそう。アイコンタクトで初狩PAに2台で入って、オーナーとしばし談笑。このオーナー、ポルシェをずっと乗り継いできているそうで、996GT3の時に事故があり安全そうなベンツに乗り換えたそう。ところがすぐに飽きてしまい、997GT3を買って現在約5000km。「ちょうどディーラーに見に行ってみようかと思っていたところに、もう公道を走っているのでウキウキして追いかけてしまった」とはオーナー談。ポルシェは雨の日などは挙動がトリッキーなので、GT-R「も」あってもいいかな?という感じ。ランデブーの時のGT-Rの中間加速の速さなど、驚きを隠せない様子だった。
河口湖から小田原へ向かい、ここで約1950km。もう少しで慣らしも完了だ。
12月10日 第4日 2000km達成
8時に箱根ターンパイクに到着。
自動車評論家・西川淳さんのバイブラントレッド、カートップのダークメタルグレイのR35とともに別冊カートップの表紙撮影に駆り出されることになっていた。ところが、通称金魚コーナーに着くと3台の予定が4台に増殖! その増えたGT-Rは自動車評論家・河口まなぶさんのもので、ザッカー編集部のロケだった。パールホワイト、バイブラントレッド、ダークメタルグレイ、アルティメイトメタルシルバーの4色が一同に揃う。どれも同日、同店舗納車組。
置き撮り、走行、引っ張りなどを撮影して、ターンパイクを各自走ってインプレ。各車の走行距離は、カートップが2200km、我がGTR-WORLDが1990km、西川さんのが900km、河口さんのが500km弱。慣らしの有無でのエンジンフィールを比較すると、断然慣らしをした車両のほうがスムースで吹けあがりも良い。同じ区間でのトップスピードを見てもそれは明らかだった。
ターンパイクでの撮影終了後、この日のメインステージである芦ノ湖スカイラインへ。黒沢元治さんを迎えての試乗だ。比較試乗をするのは、GT-Rマガジン編集部のBNR34Nurと、NISMOのZ-tune。撮影は、グランツーリスモやカーグラフィックなどでおなじみのカメラマン、北畠主税さん。
今回のR35GT-Rはガンさんの評価が非常に高い。ガンさんは先日の仙台ハイランドレースウェイでの日産主催の試乗会でも試乗している。仙台での試乗車は量産直前のクルマがメイン。実際にデリバリーされる量産車と違いがあるのだろうか? 答えは「イエス」だった。つまり、違いがあると。具体的には、車体の剛性だ。試作車よりも量産車のほうが、特にリヤの剛性が高くなっている、と。これは驚きだった。水野主管が言うように、やはりGT-Rは日々進化しているようだ。
北畠さんも撮影の合間を縫って試乗。その後ろをZ-tuneで追いかける。後ろから見ても、R35の安定感は抜群。Z-tuneでは不安定になるところを、R35は何事もなかったように綺麗に走り抜けていってしまう。ペース自体は同じペースで走れるが、危険度は相当違いそうだ。涼しい顔で走り抜けるR35。暴れるように走り抜けるZ-tune。
北畠さんはR35の速さと安定性、安心感に関しては評価。だが、北畠さんはZ-tuneのほうがじゃじゃ馬ぶりがあって、危うさがあって、好みのよう。ガンさんは新型。2000km走ってきた僕はどうかと問われると…なんと言ったらいいんだろう。これから乗るとしたらR35かな。去年までだったらZ-tuneを選んでいたかもしれないが…。これからのハイパフォーマンスカーについては、マニュアルミッションの時代は終わった、と思った。
ただ、R35をドライブした後Z-tuneをドライブすると、R35は心なしかさみしい気がする。何かを忘れてきてしまったようだ。そう、それは「ドライビング・プレジャー」なのかもしれない。「パフォーマンス」ではR35に軍配が上がることは間違いない。「じゃじゃ馬を手なずける愉しみ」ではZ-tuneだ。
R35は恐ろしく速く、恐ろしく安全、恐ろしく安定している。本当に「誰でも」速く走れるのかもしれない。この「誰でも」というのは日産もアピールしている点だが、メーカーの立場では「誰でも、どこでも、どんな時でも」は製造者責任として必要だと思う。立場を変え、ひとりのクルマ好きとしては「自分で操る」感覚は捨てがたい。ワインディング、サーキットを走るとき、本当にみんなタイムだけを期待するのだろうか? スキーをするとき、スラロームのタイムだけを気にするのだろうか?
ニュルブルクリンクで7分37秒というタイムは、確かにすばらしい。スポーツカー、スーパーカーの数値的なパフォーマンスについては100点だ。非の打ちどころがない。欠点がない。
新型GT-Rは疲れない、安全だ、という点では満点だろう。でも、早く安全に疲れないで移動したいのであれば、空港まで行って飛行機に乗ればよい。
このクルマは恐ろしく速い。
ある一定の速度域までは速いことに気づかないくらい速い。それ以降はそれ以上速く走ることが怖いほど速い。スキルや経験、そして自制心がないと、死にかねない、他人を傷つけかねない、と思う。
2000km移動。グランドツーリングカーの真価を問う旅でもあった。
R35GT-R、あえて言えば「欠点がないのが欠点」なのだろう。
横浜から広島まで到達した2000kmナラシの旅も後半。ハイパフォーマンスセンターでの1000km点検ができなかったというハプニングはあったものの、新型GT-Rは走り込むほどにエンジンが軽くなり、サスペンションの硬さが取れて乗り心地もよくなってきた。残り1000km、ガンさんの待つ箱根を目指して、各地に立ち寄りながら快調な旅は続く。
Text: Shin Inoue
Photo: GTR-WORLD.net
Photo: GTR-WORLD.net
12月9日 第三日 走行1000km~1950km
8時にホテルを出発。まずは原爆ドーム付近で撮影。原爆ドームそばの橋から撮影していたら、ブラジルからの観光客が6人くらい集まってきた。写真をバシャバシャとられたりして。男女ともに関心が高いようで、中を覗き込んだり、エンジンを見せてくれとせがまれたり・・・。
この日は移動距離が多く、早々に広島を後に。しかし、街並みの美しい倉敷での撮影の魅力にだけは勝てず、大原美術館ちかくに寄り、運河脇などで軽く撮影。「これ、新しいGT-Rですよね!?」と何人かに声をかけられた。物珍しそうに見入っている人の中には「スカG」と呼ぶ人も。
往路は東名高速を使ったので、帰りは名神小牧JCTからから中央道に入るルートを選択。中央道のほうがワインディング区間が多いのと、笹子トンネルの路面を試すというのが目的。
1000km~1500kmまではレブリミットは6000rpm。もう、日常域では全開といってもいい回転数だ。3200rpmで最大トルクを発生するクルマなので、レブリミットの6000rpmまではよどみなくトルクが発生し続ける感覚。トルクの盛り上がりを感じながら加速していく今までのターボカーと全く異なり、未体験の加速感。「どこまで加速し続けるのか?」という不思議な感覚に陥る。同時に、トルクがフラットなせいかスピード感もなく、気付くとすぐに法定速度を超えてしまいそうになっている。1500kmを超えるとレブリミットを7000rpmに。つまりほんとに全開。
中央道のワインディングも驚くほど快適。あまりにイージーに速く走れるので、これはある意味とても危険なクルマだ、と思い始める。高速道路上のほとんどすべてのコーナーを全開で駆け抜ける能力を持っている。それも全く危険を感じずに。
いよいよ、サスペンションの動きと乗り心地をテストしたかった笹子トンネル。加速していくと、チューンドGT-Rのサスペンションではピッチングが増幅されてそのままのスピードを維持することができない。それが、R35GT-Rはきちんと減衰してくれるようで、道路の凹凸以外の不快感はまったくない。100km/h巡航でサスペンションをRモード、ノーマルモード、コンフォートモードと試す。意外なことに、Rモードが一番快適だった。コンフォートモードでは減衰が収束する前に次のバンプがきてしまい、ブワンブワンし続けてしまう。ノーマルモードでもそれに近い感じだ。これがRモードにすると、しっかり路面をとらえてくれる感覚で、そのまま走り抜けられる。
笹子トンネル手前で背後に迫ってくるクルマがいた。最新のポルシェ997GT3RSだ! しばらくランデブー走行。GT-RのコクピットまでGT3RSのエキゾーストノートは聞こえてくる。それもとても官能的で、エキゾーストノートは断然GT3RSに軍配が上がる。中間加速はGT-Rが速いかな、という感じ。コーナリングもGT-Rの安定感はGT3RSにはないような感じで、GT3RSはコーナリングで全開は根性がいりそう。アイコンタクトで初狩PAに2台で入って、オーナーとしばし談笑。このオーナー、ポルシェをずっと乗り継いできているそうで、996GT3の時に事故があり安全そうなベンツに乗り換えたそう。ところがすぐに飽きてしまい、997GT3を買って現在約5000km。「ちょうどディーラーに見に行ってみようかと思っていたところに、もう公道を走っているのでウキウキして追いかけてしまった」とはオーナー談。ポルシェは雨の日などは挙動がトリッキーなので、GT-R「も」あってもいいかな?という感じ。ランデブーの時のGT-Rの中間加速の速さなど、驚きを隠せない様子だった。
河口湖から小田原へ向かい、ここで約1950km。もう少しで慣らしも完了だ。
12月10日 第4日 2000km達成
8時に箱根ターンパイクに到着。
自動車評論家・西川淳さんのバイブラントレッド、カートップのダークメタルグレイのR35とともに別冊カートップの表紙撮影に駆り出されることになっていた。ところが、通称金魚コーナーに着くと3台の予定が4台に増殖! その増えたGT-Rは自動車評論家・河口まなぶさんのもので、ザッカー編集部のロケだった。パールホワイト、バイブラントレッド、ダークメタルグレイ、アルティメイトメタルシルバーの4色が一同に揃う。どれも同日、同店舗納車組。
置き撮り、走行、引っ張りなどを撮影して、ターンパイクを各自走ってインプレ。各車の走行距離は、カートップが2200km、我がGTR-WORLDが1990km、西川さんのが900km、河口さんのが500km弱。慣らしの有無でのエンジンフィールを比較すると、断然慣らしをした車両のほうがスムースで吹けあがりも良い。同じ区間でのトップスピードを見てもそれは明らかだった。
ターンパイクでの撮影終了後、この日のメインステージである芦ノ湖スカイラインへ。黒沢元治さんを迎えての試乗だ。比較試乗をするのは、GT-Rマガジン編集部のBNR34Nurと、NISMOのZ-tune。撮影は、グランツーリスモやカーグラフィックなどでおなじみのカメラマン、北畠主税さん。
今回のR35GT-Rはガンさんの評価が非常に高い。ガンさんは先日の仙台ハイランドレースウェイでの日産主催の試乗会でも試乗している。仙台での試乗車は量産直前のクルマがメイン。実際にデリバリーされる量産車と違いがあるのだろうか? 答えは「イエス」だった。つまり、違いがあると。具体的には、車体の剛性だ。試作車よりも量産車のほうが、特にリヤの剛性が高くなっている、と。これは驚きだった。水野主管が言うように、やはりGT-Rは日々進化しているようだ。
北畠さんも撮影の合間を縫って試乗。その後ろをZ-tuneで追いかける。後ろから見ても、R35の安定感は抜群。Z-tuneでは不安定になるところを、R35は何事もなかったように綺麗に走り抜けていってしまう。ペース自体は同じペースで走れるが、危険度は相当違いそうだ。涼しい顔で走り抜けるR35。暴れるように走り抜けるZ-tune。
北畠さんはR35の速さと安定性、安心感に関しては評価。だが、北畠さんはZ-tuneのほうがじゃじゃ馬ぶりがあって、危うさがあって、好みのよう。ガンさんは新型。2000km走ってきた僕はどうかと問われると…なんと言ったらいいんだろう。これから乗るとしたらR35かな。去年までだったらZ-tuneを選んでいたかもしれないが…。これからのハイパフォーマンスカーについては、マニュアルミッションの時代は終わった、と思った。
ただ、R35をドライブした後Z-tuneをドライブすると、R35は心なしかさみしい気がする。何かを忘れてきてしまったようだ。そう、それは「ドライビング・プレジャー」なのかもしれない。「パフォーマンス」ではR35に軍配が上がることは間違いない。「じゃじゃ馬を手なずける愉しみ」ではZ-tuneだ。
R35は恐ろしく速く、恐ろしく安全、恐ろしく安定している。本当に「誰でも」速く走れるのかもしれない。この「誰でも」というのは日産もアピールしている点だが、メーカーの立場では「誰でも、どこでも、どんな時でも」は製造者責任として必要だと思う。立場を変え、ひとりのクルマ好きとしては「自分で操る」感覚は捨てがたい。ワインディング、サーキットを走るとき、本当にみんなタイムだけを期待するのだろうか? スキーをするとき、スラロームのタイムだけを気にするのだろうか?
ニュルブルクリンクで7分37秒というタイムは、確かにすばらしい。スポーツカー、スーパーカーの数値的なパフォーマンスについては100点だ。非の打ちどころがない。欠点がない。
新型GT-Rは疲れない、安全だ、という点では満点だろう。でも、早く安全に疲れないで移動したいのであれば、空港まで行って飛行機に乗ればよい。
このクルマは恐ろしく速い。
ある一定の速度域までは速いことに気づかないくらい速い。それ以降はそれ以上速く走ることが怖いほど速い。スキルや経験、そして自制心がないと、死にかねない、他人を傷つけかねない、と思う。
2000km移動。グランドツーリングカーの真価を問う旅でもあった。
R35GT-R、あえて言えば「欠点がないのが欠点」なのだろう。










yoko さん:
いやはや、R35スペックだけじゃなくかなり作りこまれている車のようで羨ましいです^^;