Text: Shunsuke Takeuchi
Photo: GTR-WORLD.net
新型GT-Rは、日産栃木工場で完成後、熟練ドライバーによる最大150kmもの全車走行検査をして出荷される。その内容は、通常の新車に対して行なう検査項目に加え、エンジンの過給圧チェック、ブレーキの焼き入れ、サスペンションのフリクション除去、ミッションのナラシを行なうというもの。その際、エンジンは5000回転まで回しているのだ。一部報道では、これを「新型GT-Rはナラシをしてから出荷される」としていた。



出荷時なじみ走行パターン

項目
LAP1 ブレーキ焼き
LAP2 ブレーキ焼き
LAP3 ブレーキ焼き
LAP4 ブレーキ慣らし
LAP5 ミッション慣らし
LAP6 ミッション慣らし+エンジン過給圧確認
LAP7 ミッションあたり付け(急発進)
LAP8 サスペンションフリクション取り
LAP9 サスペンションフリクション取り


しかし、12月6日のGT-R発売日にGT-Rの開発責任者である水野和敏氏より「新車2000kmまでのならし運転徹底についてお客様へのお願い」という、「新型GT-Rはナラシが必要」と明言したとも取れる、お達しが各ハイパフォーマンスセンターに届いたのだ。その内容は以下の通り。


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「新車2000kmまでのならし運転徹底についてお客様へのお願い」

 今回NISSAN GT-R発表に当ってのアナウンス、及び自動車雑誌等の試乗記事の情報等により、納車後すぐに十分な「ならし運転」無く0→100km/h加速や、サーキット走行を試したいと言う声が多数寄せられています。
 しかしながら、この車は、「精密VDC作動用ブレーキ液、潤滑性の良いエンジン、ミッションオイル類等さらさらでなじみにくい超高性能油脂を使い、また、硬いサスペンションブッシュ類」等を採用しているため、本来の品質、性能を発揮・維持する上で『車載オーナーズマニュアルに記載されているならし運転』を実施し、メカニカル部品の摩擦摺動面やシール類等ゴム部品のなじみを取ることが非常に重要となっています。

以上の点に加え、お客様にオーナーズマニュアル記載内容【特に第1章 必ずお読みください】の注意事項等について確認、徹底の上、納車いただけますようお願いいたします。

最後に、これからも皆様方のご協力の下、このNISSAN GT-Rを守り育て上げて行く所存です。今後ともよろしくお願い申し上げます。

2007/12/6
日産自動車株式会社
第2プロジェクト統括グループ
CVE&CPS  水野和敏
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オーナーズマニュアル記載内容
【特に第1章 必ずお読みください】の内容は次の通り

車のためにならし運転を

●エンジン本体や駆動系、サスペンション、ブレーキまわりなどこの車両の持っている性能を十分に引き出すためには、ならし運転が必要です。下記走行距離までは次のような運転は避けてください。

エンジン:2000km
・過度な高速走行をする
・急発進、急加速をする
・低速ギヤのままの走行をする
・一定速度で長時間走行をする

サスペンション及びブレーキ:1000km
・頻繁に悪路の走行をする
・不必要な急ハンドル操作をする
・不必要に急ブレーキをかける
・ハードなスポーツ走行をする


 つまり、工場出荷時に最低限のナラシはしているものの、「本格的なナラシ運転はオーナー自らが行なってください」という意味に取れる文章が、オーナーズマニュアルにハッキリと書いてあったのだ。それを水野主管は、納車時にオーナーに徹底してほしいと通達したのだ。







 国産車はナラシ不要と言われてから久しい。スーパーコンピュータで設計され、高精度な部品管理の下、レーザーを使った測定装置により組み立てられたクルマに、新車のナラシ運転はもはや儀式でしかないと思われていた。
しかしオートマのミニバンやセダンならまだしも、480psを発揮する高精度なエンジンと複雑な機構に支えられたツインクラッチトランスミッション、そして高剛性なサスペンションがスムーズに動くには、機械的な当たりを必要としているのは自明なこと。ナラシなしに、いきなり全開にされることを危惧した開発担当者自身が、強い意志でハッキリとディーラーやユーザーに伝えようとするということは、新型GT-Rがやはり特別な「スーパーカー」であると示しているといっていいだろう。